原状回復工事業者選びのポイント|賃貸収益物件はココに注目

賃貸物件の原状回復工事は、よほど知識と経験をお持ちなオーナー(物件所有者)であれば別ですが、オーナーが賃貸管理会社に依頼して進める事が一般的です。管理会社が主導する場合、管理会社が指定業者に工事を依頼する形式となりますので、オーナーにとってはその分の手数料もかかることになるのが一般的です。

管理会社にすべて任せる場合でも、ただ管理会社に丸投げするのではなく、工事内容や工事の数量・面積を相談したり見積りを確認するなど、オーナーがしっかりと関わったうえで管理会社に任せるようにしましょう。管理会社も多種多様ですので、完全にお任せしてしまい管理会社の言い値での費用負担になってしまうのは必ずしも得策とはいえません。

ここでは、原状回復工事を業者に直接依頼する場合の参考として、業者の選び方のポイントを解説します。


■工事業者の種類
賃貸物件の原状回復工事を行なう場合、建設会社や工務店、内装、水回り等の専門工事業者から選ぶのが一般的です。それぞれ特徴が違いますので、工事内容に合うかどうかを検討しましょう。

1.建設会社・工務店
建物を建築した建設会社や工務店に依頼すれば、建物を建設当初から知り尽くしているため安心して任せることができます。室内全体の大規模な修繕やリノベーション工事では頼りになるでしょう。ただし、建築当時に関わっていた人物が必ずしも担当するわけではありませんし、特に大手の場合はその傾向も高く、かつ工事内容によっては下請けに外注するケースも多くそうなるとコストばかりが上がってしまうケースもありえます。

2.専門工事業者
工事内容ごとに分離発注できるので、それぞれ得意分野を活かした業者選びができます。中間コストが省けるので低予算で抑えられるのが魅力です。ただし、現場管理力、スピード感、対応力、品質または金額にも大きな差が出てきます。また、業者の数も多いので、適切な業者選びといってもそう簡単ではありません。

■工事の目的が業者選びのポイント
原状回復工事は、室内の状況によってどの程度手を入れるかが変わってきます。クリーニングや部分的な補修だけで済む場合、退去を機に大規模なリフォームをする場合などによって工事内容や予算が大きく異なります。

また、デザイナーズマンションのような物件であれば、入居希望者は多少家賃が高くても外観や内装を意識する人が多いため、それに即した仕上がりを必要とします。逆に家賃を低めに設定する物件では家賃こそが重要ポイントになる場合も多く、問題なく使えれば良い、見た目はそこまで重視しない、という入居者はつくでしょう。

原状回復工事といっても、流行りのデザインや設備を取り入れるのか、部分補修だけで済ますのか、どの程度まで手を入れるのかによって対応できる業者も違ってきます。賃貸物件はどのような入居者をターゲットにするかによって工事の目的が違ってくるため、それによって業者選びも変わってくるのです。

■良い工事業者とは
1.対応が早い
賃貸物件の原状回復工事では、スピード感が最も重要なポイントです。長期間空室状態が続くとその部屋から得られる賃料収入が止まり、利回りが低下して経営を圧迫してしまいます。前入居者の退去から次の入居者の決定までをいかに早く・スムーズにするかを左右するのが原状回復工事であるともいえます。
依頼の連絡対応から始まり、見積り、質問や確認へのレスポンス、クレームへの対応など、工事はもちろんこれらの対応も含めてスピーディかつ明瞭であることが望まれます。

2.見積りがわかりやすく丁寧
見積り内容が詳細に記されていること、また、施主(ここではオーナー)が納得できるような丁寧な説明が必要です。項目が細かく分かれておらず「一式いくら」という大雑把な見積りの場合も少なくありませんので、内容を明確に確認しておきましょう。

3.価格設定が適正である
単純に工事費用が高いか安いかというのは、素人にはなかなか判断しづらいものですし、単純に他の業者と比較したときに安いから良い、というものでもありません。他社と比べてどうして安いのか、どこでコストを抑えているのかがポイントです。
本来必要な品質を下げたり、やらなければならない工事を省略してコストダウンしているのでは意味がないので、必要な工事を適正な価格で提示しているかどうかが大切なのです。

4.知識や経験が豊富で実績がある
退去立会いで破損個所や工事内容をしっかり確認できることはもちろん、物件の特性やオーナーの希望に添った工事ができる知識や経験が必要です。戸建てとマンション、ファミリータイプと単身用とでは、それぞれ工事のポイントが異なるため、原状回復工事の経験が浅いと見落としや追加が発生しかねません。豊富な知識や実績があるかどうかを事前にチェックしておきましょう。

5.チェック体制や基準が整っている
大手の工事会社では、基本的には工事の工程でチェックする体制ややり直しの基準が整備されています。実際に工事する職人によっては個人規模の業者に下請けに出す場合もありますが、その場合でもきちんと元請けによってチェックされていることが重要です。

6.保証やアフターサービス体制
工事の保証やアフターサービスがしっかりしているかも大切なポイントです。どんなに安くても、万全の体制が整っていないと、万一のトラブル発生時に十分な対応をしてもらえない可能性もあります。

7.入居者への配慮
工事の告知や共用部分の養生がしっかりしているか、現場の職人が他の入居者との挨拶やクレーム対応をきちんとできる教育がなされているかなど、他の入居者への配慮ができるかどうかは重要なポイントです。
また、新たな入居者内覧時の印象への配慮としては、『清掃済み用紙』を設置してくれるかもポイントになります。

■まとめ
入居者が退去する度になんらかの原状回復工事は発生するものです。賃貸物件を1日でも早く再商品化し、継続して収益をあげるためにも、オーナー目線で迅速・丁寧な対応をしてくれる信頼できる業者選びが大切です。そういった点で管理会社にはノウハウがあったりもしますので、お任せした方がトータルコストは安くなる場合もあります。
 
以上
 

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