非常用自家発電設備について|ー 非常用自家発電設備の点検方法 ー
東日本大震災の時に被災地で多くの非常用発電設備が、整備不良によって稼働しなかったという事例が報告されました。
その状況を踏まえ、消防法が改正され、年に1回の負荷試験が義務化されました。今回は「非常用自家発電設備」についてご紹介いたします。
◉地震・大雨・台風などの自然災害や火災等で電力供給が途絶えた際に、通常の供給電力に替わって発電を行い、建物の非常・防災設備を稼働させる機器です。
◉非常用自家発電設備を備えることで、停電時でも火災警報を鳴動させたり、消火に関連するポンプの稼働、非常用エレベーターを稼働させることができます。(建物の設備によって接続する設備の内容は異なります)
災害などによって電力会社からの電力供給が途絶え停電した際に、予備電源として稼働させる発電設備で、非常・防災設備に電気を供給する目的で設置され、高さや規模等によって設置が定められています。
非常用自家発電設備は、エンジンを動かして発電させる仕組みとなります。適正な整備をしない状態でいると重大な事故に繋がってしまうことがあります。常に問題なく稼働するよう、電気事業法、消防法に定められた点検の実施が必要となります。
◉電気事業法としての必要性
起動、停止の動作の状態に異常がないか、接続箇所、接続部分に緩みがないかどうか、絶縁抵抗値の測定などを点検を通じて確認をします。
◉消防法としての必要性
負荷運転を行い、エンジンに負荷をかけ、冷却水の漏れや水温異常などを点検を通じて確認をします。
~自家発電設備の点検基準~
出典:消防庁ホームページ(http://www.fdma.go.jp/)
点検項目の1つに負荷運転の実施がありますが、負荷運転とは、定められた負荷をかけて一定時間連続で運転をし、作動・機能・発電状態などを確認するものとなります。実負荷試験と疑似負荷試験の2種類があり、以下にそれぞれの試験について簡単に説明します。
(1)実負荷試験
発電機に接続されている非常・防災設備を実際に稼働させ、その負荷による運転試験を行います。
特徴
◉各設備が停電時に正常に稼働するかを同時に点検することが出来ます。
懸念事項
◉各設備の電力供給を止めるため、建物内の共用部(店舗等含む)を停電させて点検を行います。
◉稼働させる各設備ごとに作業員を配置させるため、検査には多くの人員が必要となり費用も多く掛かる傾向があります。
◉負荷をかけた時、負荷率が安定しないこともあります。
(2)疑似負荷試験
建物内の設備と発電機を切り離し疑似負荷試験機を接続し、その負荷による運転試験を行います。
特徴
◉設備と切り離し、試験機と自家発電設備間での作業となるため、基本的に建物内を停電させずに点検を行うことができます。
◉設備ごとの作業員が必要ないため小人数での検査が可能で、その分費用は抑えられる傾向があります。
◉疑似負荷試験機を利用することで、負荷を一定に保って試験ができます。
懸念事項
◉各設備と切り離しての点検のため、それら設備の停電時稼働点検は別で行う必要があります。
また、的確な管理業務実施のためマンション管理システムを導入して、管理業務の実施・履歴管理等を行い、これからもオーナー様・入居者様に「安心・安全」をお届けしていきます。
以上
更新日:2021年10月26日