大規模修繕の進め方と業者の選び方は?一連の流れを徹底解説

大規模修繕工事はマンションの資産価値を維持する上でもとても重要なものですが、実際の進め方や業者の選定については不慣れなオーナーも多いことでしょう。そこで一般的な大規模修繕工事の進め方や業者選定についてのポイントをご紹介していきます。

大規模修繕工事の流れ
まずは大規模修繕工事を進める際の大まかな流れについてお伝えしていきます。
尚、大規模修繕工事の流れは後述する専門業者選定の方式をどれにするかによって、その内容が前後したり、若干異なる内容になったりします。従ってここでご紹介する工事の流れは基本的な流れとなり、実際の流れと多少異なることもありますので注意ください。

ステップ1:業者と監理方式の選定
まずは大規模修繕の施工業者や監理方式を選定します。監理方式の詳細については後述しますが、どの監理方式にするかでオーナー自ら業者選定するのか、あるいはコンストラクション・マネージャーに全てを委ねるのかなどの違いがあります。

自ら施工業者を選定する場合、業者選定の流れは2通りあります。
一つは工事内容や仕様を決めて、その内容と仕様に従って「複数の業者に相見積もりを取る方法」です。もう一つが複数の業者に「建物の現状調査診断をさせて必要な修繕内容について提案させる方法」です。

いずれの方法でも最終的な提案内容や会社の実績などから最適だと考えられる業者を絞り、契約することになります。以下のステップは前者の「複数の業者に相見積もりを取る方法」を前提にお伝えしていきます。

ステップ2:建物の現状調査診断と実測・積算
施工業者に建物の現状調査診断と実測・積算を実施してもらい、状況についての診断結果から必要な工事内容を業者が把握したうえで、工事内容やコストを計算します。

ステップ3:説明会での必要な工事の提案と工事請負契約の締結
調査診断の結果などから必要な工事について具体的な提案の説明を受けます。
内容について問題がなければ工事請負契約を締結します。

ステップ4:近隣挨拶・入居者告知と工事着工
近隣住民への挨拶や、居住者へ工事日程や工事内容について告知し、工事の着工となります。
居住者に対しては住民説明会やチラシの配布などを通じて十分に告知し、工事の目的や必要性、工事スケジュールなどについて理解してもらうようにします。

ステップ5: 定期打ち合わせ
工程表に基づき、推進状況を定期的に打ち合わせし確認します。
追加工事や仕様変更の相談についてもこの段階でおこなわれます。

ステップ6:各工程の検査
各工程において、自主検査や社内検査、そしてオーナー立会いでの最終検査をおこない、問題がないかをチェックしていきます。

ステップ7:引渡し
工事完了後は建物のクリーニングをおこない、竣工図書の提出を受けて引渡しとなります。

大規模修繕工事の3つの方式
大規模修繕工事を進める上で重要なのが「監理方式の選定」です。
監理方式には「責任施工方式」「設計監理方式」「コンストラクション・マネジメント(CM)方式」の3つの方式があり、それぞれメリットとデメリットが異なります。

・責任施工方式
提案型の公募方式などで選定した施工業者に「診断・改修設計」と「施工」の全てを一任する方式が責任施工方式です。メリットとしては施工業者を自由に選定できる点と複数の業者による競争の中から選ぶために費用を抑えることができる点です。

デメリットとしては、設計と施工を一つの業者が進めるために工事ごとの費用の内訳が不明瞭になる点が挙げられます。また、工事内容が適切におこなわれているかをオーナー自身でチェックしなければならないために負担が増す可能性があります。

・設計監理方式
「診断・改修設計」と「施工」を分離させ、それぞれ別の業者に委託する方式が設計監理方式となります。分離させることでそれぞれの過程で必要とされる工事内容や作業内容が客観的に確認できるために工事費用を抑えることが可能です。

また工事内容の透明性が向上し、責任の所在を明確化できる点もメリットです。反対にデメリットとしては、全体の工事についてコンサルタントなどに依頼する必要があるために設計監理業務の報酬としてコンサルタント費用が発生します。

・コンストラクション・マネジメント(CM)方式
コンストラクション・マネージャーとよばれる業者に委託をし、オーナーの代理人という形で修繕工事の施工に関する全てのマネジメントを代行します。

メリットとしては工事の内容や品質、工期などについてプロの目から客観的に判断し、監理してくれることです。また、一括して代行してもらえるためにオーナーのわずらわしさや手間を減らすことが可能です。デメリットとしてはコンストラクション・マネージャーの客観性や中立性を判断することが難しく、依頼者の利益になる施工が本当に実施されたかを見極める知識が必要な点です。

まとめ
今回は大規模修繕工事の進め方や業者選定についてお伝えしてきました。特に監理方式の選定については、修繕工事の費用やオーナーの負担にも影響するなど重要なポイントです。それぞれの方式について、そのメリットやデメリットをしっかりと比較しながら慎重に選んでいくことが重要といえるでしょう。
 

以上

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