長期修繕計画|賃貸マンションにおける「長期修繕計画」の考え方

 「賃貸マンション」の「長期修繕計画」が、分譲マンションの計画と大きく異なるところは、建物の「共用部」だけでなく「専有部」についても計画しておく必要があることです。
 また、入退去が繰り返し発生すること等、「賃貸マンション」ならではの特性も考慮しておく必要があります。
 ここでは「賃貸マンション」の「長期修繕計画」を立案するうえでの留意点を工事の種類毎にいくつかご説明します。

1.大規模修繕(屋上、外装の修繕)
 3月~4月(入居者募集に伴う内覧の多い時期)は眺望を妨げる外装の修繕工事を避ける等、入居者の入退去にも留意する(物件規模によっては調整が難しい場合もあり)。

2.設備機器(エアコン、給湯器、浴室乾燥機等)の交換
 設備機器については入居中に機器の故障が発生した場合、応急対応のための費用が大きくなる場合が多いため、機器故障が頻発する前に予防保全的な機器交換を計画する(一斉交換)。

3.住設機器(システムキッチン、ユニットバス、洗面化粧台等)の交換
 キッチン等の住設機器については入居したままでの交換工事が困難なため、一定の年数が経過したら退去後の原状回復工事と合わせて計画的に交換工事を実施していく。

4.その他の留意点
 (1)工事量のバランス
  それぞれの修繕工事を別々に計画した場合、年度毎の工事量に大きな偏りが発生してしまう可能性もあり、
  個別案件毎の各種制約や資金計画等を考慮しながら、各工事時期の調整を行なう。

 (2)「修繕」に「改良」をプラス
  賃貸マンションの競争力を将来的にも保つため、「エントランスまわりや共用廊下のデザイン改修」、
  あるいは「専有部の間取り変更」等、「修繕」にとどまらない「改良」についても計画しておく。

 この他にも計画するうえで留意すべき項目は多数あり、また物件毎に固有の特徴もあります。
 それらの個別要素を総合的に取りまとめたうえで計画を立案し、実行していくことが大変重要となります。

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